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長峰ブログ

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Topics / 金銭教育

●今、金銭教育が必要な理由

今の大人世代は学校教育の中で、お金の教育を受けていません。学校教育以外でも、大多数の人はお金のことをきっちり学んだ経験がありません。では、今の学校教育は違うかと言いますと、金融広報中央委員会(事務局日本銀行)が普及推進する金銭教育研究校に指定された、ごく一部の学校でのみ行われているのが実状です。ほとんどの子ども達は、我々大人世代と何も変っていないのです。

しかし昔と違って今は、たとえ手元に現金がなくても、クレジットカードを使えば欲しいものが簡単に手に入り、高級自動車でもローンを組めば、すぐ手に入る、そんな時代です。消費者金融を利用して、自分を抑えることができずに自転車操業になり、自己破産する事例は特別なことではなくなりました。

昨今、急速に日本の銀行も消費者金融の世界に進出してきています。時代は変り、日本の銀行は間接金融を担っているだけでは収益が得られず、あらたに保険販売、投資信託販売などの手数料収入や欧米の銀行のように消費者金融に乗り出しているのです。銀行の参入で、これからは消費者金融も、より身近な存在となっていくでしょう。

欲しいモノを安易に入手できる時代だからこそ、子どもには身近にあるモノやお金の価値、役割を理解して、『お金は汗して働くことによって得られる勤労の対価』であることを知らせる必要があるのではないでしょうか?また、さらに、感謝すること、思いやりなど、大切な資質を育んでいくことになれば、子どもの人格形成にも大変有意義なことではないかと思うのです。

●日本でお金がタブーな理由は?

ところでどうして、お金の教育はなされてこなかったのでしょうか?日本では学校教育のみならず、一般的にお金の話は「卑しいこと」「汚いもの」「せこいこと」として扱われ、こんなにも身近で大切なものであるにもかかわらず、声高に口にしてはいけないものという地位にあります。

この日本人のお金に対する考え方が形成された理由の諸説をみると…。
夏目漱石は金銭そのものは善でも悪でもないが、金銭の魔力が時として人を堕落させることがあると言って、金銭の魔性を恐れたという説や、農業中心の経済社会が長く続いたことによるという説、モンスーン地帯において育まれた、日本文化の特異性にあるという説などがあります。

サムライの金銭思想の流れをくんでいるという説では、サムライともあろうものが銭を欲しがるのはもってのほかであり、「武士は食わねど高楊枝」の気概がなければ、サムライの風上にもおけないと考えられてきた時代思想があったとされています。明治時代になるまでの士農工商という身分制で支配階級であったサムライは、農民の上前をはねて生活しておりました。当然、その土地に縛られ、天候に左右される農作物の出来不出来がサムライの収入にも直接影響される毎日です。そんなサムライにとっては、たとえ収入が少ないときでも、支配階級に属していることが誇りであり、生きる支えとなっていたのです。

最近まで日本では、社会に出て就職すると、その会社で定年を終える終身雇用が当たり前でしたし、やりたい仕事で選ぶのではなく会社の名前で選び(就職ではなく就社)、あるいは就職面接で給与や福利厚生といった従業員自らの待遇をきちんと確認もせず闇雲に忠誠を誓って入社したなんてことも、このサムライ思想の影響と言えるかもしれません。これは士農工商が廃止されたとき、サムライを含め皆が気持ち的に「商」にではなく、「士」になったからでしょう。皆がサムライに格上げされたため、サムライの金銭観がそのまま一般大衆の思想となったわけです。お金のことを云々する下々の者である「商」がいなくなり、「士」と同格になった皆は、もはやお金の話を口にしてはいけなくなったということです。(「宵越しの銭は使わぬ」となった。)

●具体的な金銭教育をしましょう

さて金銭教育とは、具体的には何でしょうか?それはお金を媒体とした自立と自己実現を目的とした教育です。お金自体が目的(単なるお金儲け)ではなく、何がしたいのか、それを実現する為にどうしたら良いか、その時お金はどういう意味を持つのか、どうしたら必要なお金を手にすることができるのかを教えることが目的です。道徳的な側面も必要ですが、親などの他に依存せず、自立していくための教育でなければいけないと考えています。

では金銭教育は学校で先生が教えるものではなくて、各家庭で親が教えるべきでしょうか?親にしたって自分が金銭教育を受けた経験があるわけではないから、何から手をつけたら良いのか分からないのが実状でしょう。それなら、先生でしたら金銭教育ができるのでしょうか?大学を出て教職に就いたとして、一体どこで金銭教育を受けるチャンスがあったでしょうか?おまけに実業界に身をおいたことがないとしたら、たとえば自営業を営む親以上に難しいことなのかもしれません。

折しも日本は高度成長時代に別れを告げ、これからは安定成長下で少子高齢社会を乗りきっていかねばなりません。戦後の銀行が果たしてきた間接金融、サラリーマンの終身雇用・年功序列賃金、国任せ・会社任せの老後保障、これらはすでに綻びかけています。不況、失業、株価の下落、ペイオフの解禁。これまでの枠組を変えなければならないのに既得権益を守ろうとする政治家や業界関係者。日本の子供達のことを考えた明るい未来はあるのでしょうか?

私は全国の有志FPが各地で活動するFP金銭教育研究所で、愛知支部長を務めています。今こそ『お金を媒体とした自立と自己実現を目的とした金銭教育』が、具体的に必要だと考え、仲間とともに行動をはじめています。


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